たまの思い出
たまは私が小学6年から高校2年まで実家で飼っていた猫です。
白茶のオス猫で親戚から譲り受けました。
生後2~3か月で可愛くて小さくて、おしりを振りながらおもちゃを狙う姿に小学6年生の私は一瞬で虜に。
たまは今の同居猫、ツンデレのツーと違ってのんびり、おっとりした性格でした。
それが災いしたのか1歳になった頃、実家のすぐ前の道で車にはねられました。
命はとりとめたものの、頭を打ち片足を骨折。
牛の獣医の真似事をしていた祖父がたまの足に添え木をしてくれ様子をみることに。
私は心配で心配で…。
ちょうど思春期だったこともあり、心身のバランスを崩してしまいました。
たまは回復しましたが、瞳孔の調節が上手くいかないのか左右で大きさが違っていました。
大の猫好きになってしまった私同様、兄も弟もたまの下僕に。
たまは引っ張りだこで、順番を決めては日替わりでたまと一緒に寝ていました。
兄か弟と一緒に寝ていたはずのたまが、ひょっこり私のところへきてくれることが度々ありました。
そんなときは嬉しくてたまらなかったのを覚えています。
懐かしいたま。
お菓子の袋をパリッと開けると、どこに居ても飛んで来ていた。
獲物を見せたかったのか、へびが2体座敷に転がってたこともありました。
掛け布団の上の端を持ち上げると布団に入り、私の腕枕でぐっすり眠ります。
たまの手触りや瞳、しましまの長いしっぽ、いつまでも忘れられない。
愛しのたま、どこに行ってしまったの?
季節は覚えていないのですが私が高校2年生のとき、たまは家に帰ってこなくなりました。
昔のことですから猫はよく外を出歩いていました。
いつもは遅くとも翌日には帰宅していましたが、その時から姿を見ていません。
兄はすでに家を離れ寮住まいだったので、弟と必死で探し回りましたがとうとう見つかりませんでした。
たまが交通事故に遭ったとき、体を壊してしまった私。
そんな私をあまり悲しませないように姿を消してくれたのかもしれないと思っています。
とても長く感じますが、たまと居たのはたった5年のことでした。
そういえば私は愛猫の死に直面したことがありません。
今の同居猫のツーの死を迎えたとき、自分がどうなるのか恐い気がします。
ツーももうすぐ5歳。
もしかしたら出会ったときから今までの時間くらいしか一緒に居られないこともあり得る。いやもっと短いかも。
そう思うとこれからの時間、ツーと一緒の時間を大切にしなければと思います。
こみ上げる想いに心新たにしていますが、当のご本猫はそんなことは全く気にされていないようです。